企業のグローバルな経済活動やイノベーションの進展が急速に進む一方、そのためのルール整備が追い付いていないことが企業及び社会双方に大きな不確実性を生じさせています。企業がグローバル展開や技術革新を積極的に促進しつつ、不祥事や紛争を未然に予防するためには、ステークホルダーからの苦情を受け付け、対話を通じて相互理解を図り、紛争を解決するための、内部通報制度を拡大し、苦情処理手続を強化することが有効です。
<対話救済ガイドライン>
以上のような背景をふまえ、当職が運営委員を務めるビジネスと人権ロイヤーズネットワーク(BHR Lawyers)、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)を中心として、マルチステークホルダー関係者から構成される「責任ある企業行動及びサプライ・チェーン研究会」は、企業の苦情処理メカニズム強化の指針である「責任ある企業行動及びサプライ・チェーン推進のための対話救済ガイドライン」を策定しました。
ガイドライン策定にあたっては、OECD責任ある企業行動センターおよびILO駐日事務所から助言・支援をいただき、東京2020応援プログラム(持続可能性)の認証も受けています。ガイドラインは、東京2020のレガシーの発展、ビジネスと人権に関する国別行動計画の内容の豊富化、日本企業のESG取組の効果的な発信に貢献することも意図しています。
当職は、上記研究会の事務局・委員として、対話救済ガイドラインの取りまとめを担当し、マルチステークホルダーの協働によるルール形成をファシリテートさせていただく機会をいただきました。
詳細は、対話救済ガイドライン特設サイトをご覧ください。
<対話救済ガイドライン発表会>
2020年2月3日(月)に対して、笹川平和財団、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)、BHR Lawyersの共同開催により、公開シンポジウム「責任ある企業行動及びサプライ・チェーンの推進に向けて―ビジネスとと人権国別行動計画、対話救済ガイドラインの意義」を開催しました。200名超の方々にご参加いただき、感謝申し上げます
当職も、対話救済ガイドライン発表セッションのモデレーターを務めさせていただきました。
詳細は、対話救済ガイドライン発表会イベントサイトをご覧ください。
<関連論稿・記事>
「『対話救済ガイドライン』の発表とその意義 : 日本企業における苦情処理・問題解決制度(グリーバンスメカニズム)の強化・発展の重要性とその大きな可能性」(商事法務NBL1164号、共著)
「日本企業における苦情処理・問題解決制度強化への指針:「対話救済ガイドライン」の特徴と実践方法」(ビジネス法務2020年5月号、共著)
日本経済新聞朝刊記事「人権や環境問題「苦情」で正すサプライチェーン」(2020年3月1日朝刊、コメント)
OECD・ILO・EU主催イベント「アジアにおける持続可能なサプライチェーン実現に向けて」スピーカー 2019年11月19日
日本経済新聞夕刊一面記事「人権配慮、NGOとタッグ」(2020年9月30日付夕刊、コメント)
国際法曹協会ソウル年次大会「Promoting responsible supply chains in Asia, connecting western and Asian lawyers」スピーカー 2019年9月25日
日本経済新聞夕刊一面記事「日本の製造業、人権・環境重視に OECD指針受け厳しく」(2019年5月20日付夕刊、コメント)
企業のサステナビリティを高めるための苦情処理メカニズムの強化」(会社法務A2Z 2017年11月号)
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