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経枈制裁芏制の域倖適甚にいかに察応できるか


制裁金億円パリバ事件の衝撃

 幎月、仏系金融機関パリバは、米囜芏制に違反し、経枈制裁の察象囜などず取匕を行ったずしお摘発され、億ドル圓時玄億円盞圓ずいう巚額の制裁金の支払に応じざるを埗なくなった。  米囜は、䌁業・金融機関等に察し、むラン・キュヌバ・シリア・北朝鮮・クリミアなどの包括的制裁察象囜や制裁リストで個別に指定された制裁察象者ずの取匕を犁止するず共に、その資産の凍結を芁求する、厳栌な経枈制裁芏制を課しおいる。これらの芏制は、米囜財務省にある海倖資産管理局OFAC: Office of Foreign Assets Controlを芏制圓局ずするこずから、OFAC芏制ず呌ばれおいる。  BNPパリバ事件で米囜圓局がOFAC芏制違反を認定したのは、フランス・スむスの拠点が実斜した取匕であり、米囜ずの接点がほずんどなかった。しかし、ドル建取匕に぀いおは、米囜金融機関を通じお決枈がなされるため、芏制が適甚される「米囜内に存圚する資産」であるず拡倧解釈がなされ、域倖適甚がなされたものである。同事件は、米囜がOFAC芏制を極めお積極的に域倖適甚する姿勢を瀺したものずしお、各囜に衝撃を䞎えた。同事件埌も、日本を含む各囜の非米系䌁業・金融機関がOFAC芏制の域倖適甚を受け、制裁金の支払に応じざるを埗なくなっおいる。  以䞊のように米囜OFAC芏制の域倖適甚のリスクが高たっおいる珟圚、日本の䌁業・金融機関も、ドル建取匕や米囜䌁業・米囜人などが関䞎する取匕など䜕らかの米囜接点がある取匕にあたっおは、同芏制に察応するための経枈制裁コンプラむアンスが求められおいる。

リスクベヌスでのの必芁性

 䌁業・金融機関が、米囜OFAC芏制を遵守するためには、取匕関係者が制裁察象者・制裁察象囜ず関連しおいないかを確認するデュヌディリゞェンスDDを実斜する必芁がある。 問題は、経枈制裁コンプラむアンスが求めるDDの範囲は、犯収法などのマネロン察策における顧客確認の範囲ず比范しお栌段に広いこずである。OFAC芏制では、顧客のみならずあらゆる取匕の関係者に぀いおDDが必芁ずなる。たた、制裁察象者が以䞊の持分を有する団䜓に぀いおも取匕犁止・資産凍結の察象ずなるずいう解釈ガむダンスが存圚するこずから、取匕関係者の実質的支配者もDDが必芁である。さらに、OFAC芏制は芏制の朜脱行為も犁止しおいるこずから、盎接の取匕盞手方のみならず、間接的な取匕関係者に぀いおもDDが必芁ずなる堎合がある。  以䞊のような極めお広範な取匕関係者に぀いお、チェックリスト方匏で䞀様にDDを実斜する手法には限界がある。むしろ、リスクの高さに応じおきめ现やかにDDの範囲や方法を決定するずいうリスクベヌス方匏でのDDが珟実的か぀有効である。実際、OFAC芏制に関する経枈制裁執行ガむドラむンもリスクベヌスのコンプラむアンスを芁求しおいる。  リスクベヌスのDDを実斜する前提ずしおは、OFACリスクを適切に探知し、評䟡し、察凊するための内郚統制システムを敎備するこずが䞍可欠である。もっずも、チェックリスト方匏に慣れ芪しんできた日本䌁業・金融機関が、リスクベヌス方匏のDDやコンプラむアンスを盎ちに実践するには課題があるのが珟状であり、思考の転換ず実務䞊の工倫が求められおいる。

米囜トランプ政暩䞋で急展開する経枈制裁  トランプ氏が米囜倧統領に就任しお以降、各囜ぞの制裁内容も急展開しおいる。むランは栞問題に関する包括的行動蚈画JCPOAに基づき制裁が緩和されおいたが、合意砎棄を䞻匵するトランプ氏の倧統領就任埌、制裁匷化が進んでいる。キュヌバも囜亀正垞化にむけおの亀枉開始埌に制裁が緩和されおいたが、トランプ政暩䞋で方針転換の兆候が生じおいる。たたロシアは米倧統領遞ぞの介入、北朝鮮は栞ミサむル問題などをふたえた緊匵関係の高たりを受けお、制裁がさらに匷化されおいる。

コンプラむアンスを競争力に

 以䞊のように緊迫する囜際情勢の䞋経枈制裁が急展開する状況においお、倚くの新興囜・途䞊囜ずの取匕においお、䌁業が制裁察象者等ずの取匕に巻き蟌たれるリスクが急速に高たっおいる。ずはいえ、䌁業は、䞀郚の制裁察象囜ずの取匕を陀き、リスクが高い新興囜ず党く取匕を行わないずいう遞択肢は存圚せず、適切なリスクマネゞメントが求められおいる。  経枈制裁コンプラむアンスの実践は、䌁業にずっおは、コストであるず捉えられがちであるが、むしろ持続可胜な圢で海倖ビゞネスを行うための競争力の源泉ずなるものだ。制裁察象者などが取匕に関䞎するリスクを予め探知するこずで、そのリスクを適切に緩和するこずができる。リスク緩和の方法は、取匕解消のみではなく、リスクの皋床によっおは暎力団排陀条項に類䌌した衚明保蚌条項を導入するこずなどにより取匕を継続できる堎合も倚い。たた、䞇䞀違反取匕が発芚しおも、適切なコンプラむアンスを実斜しおいれば凊眰が枛免されうるこずが、経枈制裁執行ガむドラむンにも明蚘されおいる。  日本䌁業がより積極的にグロヌバル展開を行うためにも、今、経枈制裁をはじめずしたグロヌバルコンプラむアンス力が詊されおいる。

関連掻動

  • 「トランプ政暩䞋の OFAC 芏制執行匷化にみる経枈制裁芏制コンプラむアンスの最前線」ビゞネス法務 幎月号

  • 「<Trend Eye>経枈制裁芏制の域倖適甚にどう察応するか」(ビゞネス法務幎月号関東蚘事)

  • 「FinTech・仮想通貚におけるマネロン・反瀟リスクの所圚ヌ諞倖囜の実䟋や芏制動向を螏たえた考察」旬刊商事法務No.2133 幎月・日合䜵号

  • 「グロヌバル時代における反瀟䌚的勢力察応䞊䞋―グロヌバル暎力団排陀条項の導入に向けお」・号 共著

  • 「オバマ暎排倧統領什ず東京郜暎排条䟋―日本の暎排ず䞖界のボヌハむのシンクロナむれヌション」号 共著

  • その他関連セミナヌ・講挔・瀟内研修など倚数。


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